昼下がりのコーヒーブレイク 「宇宙の理」 2008年3月号


常識を疑う(医療編1)

 ユートピアには保険がない。そもそもお金がないのだから保険などありようはずがない。
 否、それよりも、今の地球社会にある災難・災害がないのだから「万が一」に備える必要がない。
 しかし現代社会には大小の災難・災害は誰にでも起きている。

 出来事には偶然はなく、何事にも理由があることを知っている霊的知識を持った者だって、いつ災難がやってくるか分かりません
(忘れているかもしれないが、高い魂ほど学びのハードルは高く生まれてきているので、一般の人より現象的には不幸に思えるかもしれない。それも自分が選択した運命である)
 この私も入院を4回経験しています。ケガが多かったですがその内1回は110日の長期入院でした。
 今の高度医療がなかったら私は足を引きずって歩き、右目は失明しているでしょう。大病を患った家族もいるし、入院費が1日15万円程度かかるアメリカ (←
誤植じゃありませんよ)だったら破産していたことでしょう。しかし国民皆保険と生命保険で出費はさほど大きなマイナスにはなっていません。

 私などは、そもそも「万が一」と心配することそれ自体が「万が一」の現実を作ってしまうと、一応、能書きをひとつ言いたくもなります。それで生命保険には加入しなくてもいいかと思ったりしますが、前述した現実もあったし、入っていないと親族が心配することもあり平均的な保険には加入しています。

助け合いの互助精神

 
保険が現代社会に存在するのは、必要だから作り出されているのは間違いのないところです。保険が肯定されるのも否定されるのも動機次第と思います。その動機からいろんな見方が出来ます。

 色々な保険に入っていないと心配だという人もいますが、それで3つも4つも度を過ぎて加入しているとしたら、それは強い心配心ですからよろしくないと思います。伴侶が世を去ったら心細いのでそのときの用心にと、人の死に高い保険をかけるのも感心できないものです。掛け金が多いと被保険者は契約者の死を一瞬願ったりすることもあるでしょう。
 しかし生命保険加入の理由の主なものとしては残された家族の為というのが一番多いわけです。これは自分以外の人の為に富を犠牲にすることですから、心配心を含んでいるとは言え、現代地球人の思いやりとも言えなくはなさそうです。

 保険というのはそもそも互助の精神から発したものと思います。特に日本に多くある「共済保険」というのは優れものです。これには「県民共済」「自主共済」「PTA共済」「互助会」などがあります。不況が長引く今日この頃、民間の生命保険のように高い掛け金を必要としない共済保険は「思いやり保険」といってもいいくらい痒いところに手の届くものもあるのです。
 慶弔金とか見舞金とか出るものから、通常の生命保険では加入が認められない特定の病気を抱えている人たちなどが集まって作るもの、不特定の誰でも加入できる「県民共済」まで、日本は近年多くの共済を 立ち上げてきました。

 こういう儲けを度外視した共済の心は、日本人のもっとも得意とするものです。本来仕事というのは役割であって、お互いがお互いの長所を利用して助け合っていこうというものです。そういう仕事本来の観点から見ると、互助の精神が働きやすい仕組みを、中間に立って支援する人たちが本来の保険会社の人たちなのだと思います。
 しかし「会社法」で「株式会社」は利益の追求をしないといけないことになっていますが、これは元々日本人が持っていた互助と思いやりを捨てろというに等しく、とんでもなくお節介な悪法です。

 日本の「国民皆保険」にしても思いやりの心が正しく仕組みに現れていました。医療の平等が守られ、更に弱者救済の思いやりが働いていました。実際、日本の医療保険は「皆保険制度」や、保険証の提示で全国どこにいても保険診療を受けることが出来る「フリーアクセス制」が評価され、WHO(世界保健機構)によって2000年に世界で総合第一位に選定されました(しかし一方、検査・薬漬け入院日数の長さなどから「保険システムの効率性」では第10位)。

次の改革の狙い

 この日本の優れた共済も健康保険も今、アメリカとアメリカに媚びる一部の政治家によって崩壊の危機にあります。特に共済保険はもう既にアメリカの保険会社(日本の保険会社も相乗り)によって市場原理(金儲け競争)の世界への組み入れられが始まりました。日本の共済は盗人にとってそれほど魅力的なのです。
 例えば「埼玉県民共済」は窓口を埼玉県民にまで広げ、埼玉県においてダントツの契約件数を誇っています(契約金額は一番ではない)。この不況で掛け金の高い民間の保険会社は伸び悩んでいますが、共済は急成長して件数では民間の保険に大きく差をつけるほどになりました。こういったものが「保険業法」の改正によって、外資に乗っ取られていくのです。

規制化の目的

 保険にはいろいろと規制がありますが、規制は保険に関わらず何であれ、心の状態によってあったほうが良い場合と良くない場合があります。民間の保険会社は利益追求型ですから動機は宇宙の高次の法則に則っておらず、規制が必要になります。
 しかし互助精神から組織化された共済会は、その心の秩序体系が互助の精神で織り成されているため、規制はさほど必要とせずに成長してきました。そして成長する予定でした。しかし無秩序下ということではなく、和を以って自由意思が妨げなく回ることの出来る内的秩序体系に、画一的・外的な規制の制御が入ると正しいエネルギーの循環が止まり、エゴの制御下に陥落してしまいます。共済も然りです。

 この共済の成長と財に外資は目を付け民間の保険会社と同じように規制下に置くことを望みました。郵政の簡保貯金の次は共済の掛け金も欲しいというわけです。そして「保険業法」が改正されました。
 この改正によって、国の規制をほとんど受けずに伸び伸びと人助けしていた保険の仕組みが、金融庁の監督下に置かれ“ 金儲け ”を目的としたエネルギーと同じ規制の屋根の下に置かれることとなりました。おそらく今後、共済の体質は利益追求のエネルギー体質へと変えられていき、競争の世界にいなかった共済が競争の世界に放り込まれていくのです。先ずは日本の保険会社の傘下に組み入れられ、やがては外資の保険会社の傘下へと組み込まれていくのでしょう。

 数年前に起きた中堅生保の立て続けの倒産と経営危機を思い出してください。「東邦生命」「第百生命」「千代田生命」「協栄生命」「オリコ生命」「平和生命」「日産生命」などなどの日本企業が既に外資系保険会社の軍門に下っています。これはそういう時代になったのではなく、そういう意図に操られたのです。
 実は買収に先立つこれらの日本の保険企業の倒産等も、日米の日本国売国人による1995年の保険業法の改正が元になっていたのです。保険会社の支払い能力の評価を義務付ける法律を作り下位に解約が集中するように仕向けたのです。

 共済会の危機について書いていると誌面がいくらあっても足りないので、詳しく知りたい方には小泉元総理によって2006年の衆議院選で小池百合子氏を刺客に立てられ落選した小林興起前衆議院委員が上梓した「主権在米経済」(光文社)をお読みいただくことをお勧めします。価格も安いですし。

何故、M&A(乗っ取り)を推進するのか

 一部の売国人と官僚、無知な国会議員たちによって保険業法のような本当に信じられない法案が次々と通ってしまいます。
 (新)「会社法」も同じです。何故、外国企業が日本企業を買収しやすくなるような法律にわざわざ改正したりするのでしょうか? 「世界の流れ」とか言って、さも当たり前のようにマスコミは言いますが、彼らはその先の日本の姿が見えているのでしょうか? 何故、自分で自分の首を絞めるのでしょうか? マスコミとは、本当に理性の持ち主が少ないところです。

「会社法」が改正(?)されたことで、「*三角合併」という外資による日本企業買収行為が推進される下地が出来ました。それと同じことが保険や医療改革でも行われましたし、行われようとしています。グローバル化∞今どき∞世界の流れ∞時の流れ≠ネどの非科学的で観念的な言葉で国民を欺いています。全部、どうやったら「外資に日本の財を差し上げられるか」という目的に沿って世論は操られ、日本の法律は次から次へと変えられていきます。

*三角合併(外国株対価の合併)とは、現金ではなく株式交換による親会社の持ち株交換を認めた企業買収方法。A社がB社を吸収合併する場合に旧商法の規定では、現金以外で買い取りの対価として渡すものはA社株に限られていた。且つ、A社は日本企業限定。しかし新会社法ではA社の株でなくても親会社(C社)の株を対価とすることが出来ることになった。これによって外資(C社)は子会社(A社)を作って自分の株をA社を通して渡し、買収したいB社の株を交換で受け取る乗っ取りが成立する。国内の子会社を介在させる必要がある点は変わらないが、これは日本企業の子会社を設立すれば良いだけだ。いったいこんな売国推進法律を作る必要がどこにあるのか。

官から民へ

 「改革」が言うところの「官から民へ」とは、例えば保険に関して言えば、共済保険を民間の秩序に変えて行きましょうというのが本音ですし、国民皆保険にしても診療報酬(国が決める保険対象の診察費。国から医療機関に支払われる報酬は自己負担が3割であれば7割となる)をどんどん値下げして行き、官の負担を減らし国民には民間の(外資)保険を買っていただこうというのが本音です。つまり健康保険に変わってAIG傘下のアリコジャパン、エジソン、スター生命、AIU、アメリカンホームなどの外資の保険会社に個人が自己責任で加入して負担をするという方向です(最近のテレビCMを見ると、この外資保険企業が提供するCMのオンパレードである。新聞・テレビの大マスコミはこの広告欲しさに真実を語らない)。何のことはない、国民皆保険の崩壊です。それが外資の生命保険会社だけでなく、*外資の製薬会社の莫大な利益に繋がるのです(*これは月を改め解説する)。
 公的な保険のシェアが低いアメリカはこの制度が大半です。その結末の悲惨さを描いたのが昨年日本で封切られたマイケル・ムーア監督の『シッコ』(4月4日レンタル開始)という映画でした。是非借りて観てください。

 こういった「官から民へ(最後は外資へ)」を成そうとして設置されたのが「規制改革・民間開放推進会議」で、議長は宮内義彦オリックス会長です。だいたい民間開放ありきとして初めから「官から民へ」を肯定しているのですから堪りません。
 「株式会社病院」を認めて行こうという流れも民から官への発想です。そして問題なのは、2006年7月に日本初の株式会社病院として誕生した「セルポートクリニック横浜」を経営しているのが「バイオマスター」というベンチャー企業なのですが、「規制改革・民間開放推進会議」の宮内義彦議長が会長を勤めるオリックスがこの会社の主要株主になっているのです。さらにやはりバイオマスターの主要株主である日本生命、三菱商事も民間開放推進会議のメンバーに顔を並べているのです。
 これでは泥棒に泥棒法案を作らせているようなものです。
 こういった国民に選挙で選ばれた人でない(売国人に選ばれた)民間議員が勝手に草案を作り、それがろくに議論されないまま採決されていくのです。
―つづく ―